住宅の屋根や外壁は建築後10年を目途に防水力を維持するため塗装することが推奨されていますが、実際にこの期間でメンテナンスしている住宅は少ないので、築10年を超えた戸建を売買取引する際は注意が必要です。
売買契約書を確認しよう!
具体的に注意する点は売買契約書に雨漏れのような隠れた瑕疵が見つかった場合に備えて売主の責任が明記されているか確認することです。この売主の責任のことを瑕疵担保責任と言います。瑕疵とはキズ、欠陥という意味です。売主が宅建業者(不動産会社)の場合は瑕疵担保責任の期間を引渡しから2年とし、個人の場合は2~3ヵ月とすることが一般的です。昔から雨漏れでのトラブルは非常に多く、売買契約書に具体的な修繕方法を記載することも今や一般的です。
最近経験した雨漏れでのトラブル
相続により取得した戸建を売却したいと当社に依頼があり、無事成約することができたのですが、建物引渡し後雨漏れが発覚しました。築17年の建物で売主は住んだことがなく、私自身何度も内見したのですが雨漏れの痕跡に気づきませんでした。雨漏れの状況は建物の外壁から雨水が侵入してきたものと思われ、1階の和室天袋側面にシミをつくっていました。
買主は入居前に内装リフォームを業者に依頼し、このリフォーム業者が雨漏れを見つけました。今回の契約は別の不動産会社が買主側に仲介で入っており、買主とは契約の時しか面識がありません。
雨漏れの報告を受け、現地でリフォーム業者から状況の説明を聞いたのですが、その話しぶりからこのリフォーム業者が買主の友人だと私は誤認してしまい、この業者を買主との交渉窓口にして、ちょっとしたトラブルになります。
リフォーム業者によると買主は大変怒っており、一刻も早く雨漏れを止めてほしいと言うことでした。早く修繕工事の手配をしたほうが良いと判断した私は買主も安心するだろうと思いこのリフォーム業者に見積もりを依頼しました。
後日できあがった見積もりを見ると金額が200万弱で、工事内容は建物の全面塗装となっています。当然こんな工事を認めるわけにはいきません。売主も唖然としていました。契約書に記載されている工事範囲しか認めることはできないと業者に伝えましたが、雨漏れを完全に止めるには塗装工事しかないと言い張り、それでないと買主も納得しないと喧嘩腰の口調で主張します。
こうなったら、直接買主に会って交渉するしかないと思い買主を訪問しました。これまでの経緯から買主はクレーマー気質でかなり困難な話し合いになるなと思っていいたのですが、こちらが拍子抜けするほど終始和やかに話し合うことができました。
まずリフォーム業者は友人ではなく、買主は建物の全面塗装にもこだわっているわけではありませんでした。どうやらリフォーム業者が仕事がほしくて事を大きくしていただけだとわかりました。
修繕は契約書に記載されている工事内容になることを買主に伝えると、あっさり了承していただき、すぐにこちらで手配した業者で工事するころができました。
費用は15万円位です。売主も納得の金額です。内容は現に雨漏れを起こしている箇所で、外壁の継ぎ目と庇周りにコーキング打ちです。このようにトラブルを解決することができたのは契約書に雨漏れが発覚したときの修繕方法がしっかりと記載されていたからだと思います。
2018年8月4日 追記
雨漏れのトラブルで厄介なのが原因がはっきりとわからないときです。いろいろ調べてみると雨漏れ(現象)があったからと言って瑕疵を主張できる訳ではないようです。雨漏れの原因を買主が立証しなければなりません。だから、雨漏れがあっても、「とにかくすぐに直せ!」は通用しません。雨漏れの原因調査の義務は売主にはなく、買主が行わなければなりません。下記のサイトが参考になります。http://www.ichiben.or.jp/soudan/trouble/kenchiku/